つめたい雨。待ち人来ないテレビ塔

 目が覚めると冷え切った部屋の空気が布団から出るのを躊躇わせる。かすかに聞こえる雨音…寝起きからテンションが下がる。何とか布団からはい出してすぐにシャワーへ。軽く浴びた程度では部屋との温度差に耐えられないので、暖まるまでしばらく浴びていた。
 外に出ると雨は思ったより強くなかったけど、驚くほど冷たい。雪にはなっていないけれど、雪になる少し前くらいの本当に冷たい冷たい雨。真っ暗なアスファルトの上の水たまりを目をこらしながら避ける。
 北海道の今時期も、丁度雨から雪に変わる前のギリギリの時期で、初雪は過ぎても雪が積もっては居ないというグレーな季節。真冬でもなく、かといって秋でもないので上着が中途半端で、そのせいで余計に寒かったような気がする。
 歩きながら高校時代のことを思い出していた。ちょっとした恋の思い出?なんだろうか。街中は冬のイルミネーションでまぶしく、幸せそうな顔で通り過ぎる通行人を恨めしげに見ていた。
 来るはずもない待ち人を、あの日のように待っている。あの頃も今も、変わっちゃいないなぁ。