異常か否か

 氷室真裁判長は判決理由で「非常に計画性が高く、犯行のむごたらしさは筆舌に尽くし難い」として、被告の完全責任能力を認め「心神耗弱状態だった」とする弁護側主張を退けた。

 結局刑法39条があるかぎり、精神障害者が真に法の下に平等に扱われることはない。
 個人的には、今回のこのケースでは責任能力が認められた部分は真っ当だったと思うけど、その上で無期懲役で無かった理由として、アスペルガー症候群を挙げた。つまりは心神耗弱者として認め、刑を減刑されたということだ。
 刑法39条は「心神喪失者の行為は、罰しない。」と「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」とある。文面だけ見ると精神障害者を擁護するためにあるように見えるが、何を判断基準にしているかといえば、障害(疾病)というよりは異常か否かということに他ならない気がする。結局39条によって、精神障害者は異常者として貶められ、正当に法を犯したか、そうでないかを裁かれることすら許されない。
 まぁこのあたりは日本の精神医療という闇と深く関わっている部分なので、簡単にどうこうできる問題ではないものの、この非常識な法がある限り、犯罪に対して裁判の判決を評価、議論することすらできない。誰にとっても正当性がないんじゃないか。