山に黒部に…
旅から帰ってきてからというものすっかり「山」のトリコです。早速登山関係やら、行ってきた立山、黒部に関する本を買ってます。まぁ順に読んでいこうと思いますが、早速読んだものから感想なんぞを…
- 作者: 服部文祥
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2006/06/20
- メディア: 単行本
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アマゾンやらネットのレビューで多くの人が推していたので気になって読んでみることに。だって「サバイバル登山家」だよ?このタイトルはどうにかならなかったんだろうか…。そんなことを思いつつ読み始めたのだけど、この人本当にアウトドアの方なんだろうか?と。凄く文章が巧くて、表現が独特なのに読みやすく、グッと読む者を惹き付ける才がある!ただの山屋じゃない!!
さらにものすごく人柄が穏やかなんだろうなぁ…。謙虚で何事に対してもフェアでありたいと。だからこそ文明的な装備を捨て、敢えて自然と共に生きようとする姿勢が潔い。所詮ちょっとばかし文明を捨ててみたって、それはある種の偽善的な自己満足に過ぎないのだ。それは著者も理解している。その上で敢えてやろうっていうのだから、文句ないじゃない。
実際の山行の記録は壮絶。だけれど登山家にありがちな自己主張のお仕着せなんかはない。ただただ謙虚につづられる記録に、すっかり夢中になって読んでしまった。
調べると旧都立大の文学部卒…さすがの文章力だけあるよ。登山だけでは勿体ない。この人にもっともっと記録を、文章を書いて欲しいと思う。すっかりファンになりました*1。
とにかく登山や山に興味の無い人にも読んで欲しい。この熱さからは何か得られると思うよ。ただ登山の専門用語が出まくるので、注釈くらいは欲しかった。
- 作者: 木本正次
- 出版社/メーカー: 信濃毎日新聞社
- 発売日: 1998/06
- メディア: 文庫
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ま、観たくても観られない映画への熱い思いは置いておいて、その原作となった本作は、その登場人物、関係機関とも全て実名で書かれたドキュメンタリー小説だ。黒部川第四発電所の建設と、それまでに至る過程、そして一部の主要人物の人間ドラマを描いた作品で、黒部を知るためにはまず、の一冊なんだろうと思う。
ある程度キーになる人物の人となりや、周囲の人間との関係などについて詳しく描かれている反面、ダム建設工事については関電トンネルの描写こそ時間を追って詳しく書かれているものの、ダム自体や発電所などについては一応流れに沿って、という形で書かれているのみなので、正直物足りなかった。もちろん人を書くことはこの作品にとって重要なポイントになっており、殉職なさった方についての下りは胸が詰まったし、そういった一人一人の犠牲の上に成り立った事業だというのは分かる。ただその大きさが伝わってこないのは、これは表現力によるものだと思う。
黒部を知る上では是非読みたい一冊だと思う。ただこの作品だけでは終われない。そう強く感じた。
*1:ただ奥さんと子どもが3人居るってのにはちょっとビックリした…。こんな命知らずなこと…うーん。家族がいるのか〜!…考えさせられるな