突き抜けた

いよいよ今回の旅も終わり。最終日はうれしいことに、心配だった天気も良くなって気持ちよい朝になった。早速5時過ぎから周囲を散策。
昨日は時間が無くて行けなかった松尾峠コースを回る。

朝の起き抜けにはちょっと心臓破りできつかったけど、お陰ですっかり目が覚める。峠についてカルデラを一望したら眠気なんてぶっ飛んでしまった。立山温泉の跡からは今も蒸気が上っていた。昔は多くの登山者の貴重な温泉だったんだろうな…。昨日通ってきた弘法も、登山者のための宿があったそうな…。今はすっかり近代化されてしまって、標高2,000メートル越えまで車やら乗り物やらで来られる…本当に自然は美しいんだけど、色々と考えさせられっぱなしだ。
7時から朝食を取り、8時には室堂平へ移動。早めについたので、昨日称名滝で出会った登山家の人から聞いた話を色々反芻してみる。
正直自分はこのかた山というものに全く興味を抱けなくて、いわゆる登山をする人も周囲には居たけど、どうも勘違いをしている人が多くて…。ナイフを持った子供みたいに、自分が強大になっていっていると思いこんでいる様なタイプの方が多かったので、登山なんて、登山家なんて…と思っていたのだけれど、そういう食わず嫌いもな…という思いと、折角立山に来たのだから、中国人のツアーみたいにターミナル前で写真とって移動…なんてのは勿体なさ過ぎると思ったから。雄山に登ってみることにした。

室堂から雄山山頂までは、途中の一ノ越までは登山道も綺麗に整備されていて延々と上っていくだけなんだけど、これが…きつい!もう高地で酸素も薄いし、下界みたいに調子に乗って上るとすぐに息が上がってしまう。体力的にきついとかでは無く、もう息が苦しくて…。
途中雪渓なんかもあったりしてビックリ。話によると一番雪が少ないのが11月で、それからまた深い雪に覆われるらしい。さすが3,000メートル級の高地…
そんなこんなでヒーヒー言いながらも30分弱で一ノ越に到着。水を飲んで室堂と反対側と、展望を楽しむ。
スケール違いすぎる。何て言うか言葉にならなかった。

でも休んでいる暇もなく、雄山登山はここからが本番だった。登山道…っていうか、岩!どうやって登るの?という感じだったけど、小学生なんかも集団登山するらしい…恐るべし富山の小学生。
本当にここからも心臓破りの急な登りで、歩くというよりは本当に登っていく。

足を踏み外したら…ねぇ。死ぬんだろうな。なんて思いながらも10分くらいでなんとか頂上に。運動不足には堪えるよ…
と、後ろを振り返って、見回して、全てが報われたね。


登って来た室堂が箱庭のようにw。そして遠くの峰々。残念ながらガスが出てきて富山平野は見えず。それでも凄い。雄大過ぎる。自分の小ささを思い知らされた、なんて使い古された言葉しか出てこない。こんな自然の前では言葉なんて何て無力なんだろう。
何て言うか、山に、全ての存在に感謝というか、温かい気持ち、感情がわき出してくる。自然の前に立って、人間である以前に、動物であって、自然の中の一つの生命に過ぎないということ。写真や映像、言葉では絶対伝わらない。ただ自分で経験した者だけが、感じることの出来る瞬間、なんだと思う。
ここに来て始めて、山岳信仰だったり、山を愛し、登り続ける登山家の人たちが言うような気持ちに近づけた様な気がする。それくらいリアルで、充されていて、日常がクソみたいなままごとに思えてくるような(ちょっと言い過ぎ?)…言葉がないな、やっぱり。

記念に山頂の雄山神社の登拝を。ちょうど同じくらいに大汝山方面から来た学生の人達と一緒にお払いをしてもらう。
曇っていた山頂周辺が一気に晴れて、少し神秘的な体験だった*1
その後は折角なので大汝山まで行き、ついでだから富士の折立を越えて立山制覇…と思ったけど時間の都合で大汝山から折り返して室堂におりる。気分的には楽だし、呼吸も楽だけど、下りは膝に来る*2
室堂に戻ってターミナル前でわき水で回復。その跡は思い切り散策した。


紅葉も始まっていて、天気は崩れてきていたけど本当に綺麗だった。燃える、っていう表現がピッタリだと思う。本当に時間が許せばいつまでも見ていたかったなぁ…

そして室堂一番のお気に入りが地獄谷だった。荒々しい荒涼とした大地に上がる水蒸気、硫黄の強烈な匂い。正に地獄谷。天国を見た後に、地獄を見ることになるとは。これが立山の素晴らしい所なんだろうな。

*1:だけどこの雄山神社の巫女さんはどうなの??下世話な話大声で笑いながら話してて、思い切り雰囲気ぶちこわしだったよ〜!このバイト巫女め!w

*2:結局帰ってからも2日間筋肉痛に悩まされることに…