もう行かなくちゃ

自分はどういう人間かなんて、他人が居なければわかり得ないのに、一人で生きている気で居る。仕事をしていても、家に帰ってきても一人。実際物理的に一人だったとしても、目に見えないところで誰かと繋がっているから今もこうやって生きながらえているんだろう。
17の頃の自分は、目に見える、肌で感じられる繋がりばかり求めていた。それが嘘でも良かった。一瞬だけでも、誰かと繋がっていれば、自分がそこに在るんだと思えたから。だけどこの卑しい欲望が満たされることなんてなかった。傷つきたくない、傷つけたくない、矛盾を抱えて、それでもそれが成せるともがいていた。
それが無理だという、当たり前のことに気付いたのは、自分が消えたくなるほど傷ついて、誰かを消してしまうほど傷つけた後だった。初めて自分の存在がリアルになった。
あれからかなり時間が経ったけど、今は一人。建前でばかり他人と接していると、いつの間にか本音は息を潜めて、その存在すら気付かなくなってしまっていた。誰も傷つけない、誰も傷つかない関係なんて嘘っぱちだと、あの頃気付いたはずなのに、同じことばかり繰り返している。でも何時までたっても怖いんだよね。やっぱり全ての人間と繋がることなんて今はできない。目の前に居る人間に本音もぶつけられないのに。
だから本当に近くにいる人には、せめて嘘付かない、主観でいなきゃな。
電話をするよ。