村上春樹がノーベル賞を獲る意味

カフカ賞、オコナー賞の受賞実績から、今回のノーベル賞受賞の可能性が示唆されていましたが…残念ながら受賞ならず。トルコのオルハン・パムクという方が受賞したようです。*1個人的には村上ファンである以上、かなり期待はしてたんですが…残念。

村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。
佐藤 幹夫

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先日この本を読んでから、物書きというものが、特にこの場合村上春樹氏が小説を、文学を通して体現しようとしているもの、について意識するようになった。夏目漱石志賀直哉太宰治三島由紀夫と作家というものは乗り越えるべく先達らと、その作品と、偉業と陰と戦い続けているというもの。多くの村上論の中でもなかなか面白いと思った。個人的にも「ねじまき鳥クロニクル」を読んだときの衝撃と、読解力と経験のなさから、何度(と言っても2,3度だけど)読んでも読み解けないことに苛立ち、一時村上熱は冷めてしまっていた*2。でも確かに小説家という人間は、村上春樹という人間は、多くの乗り越えるべく壁と戦っている最中なのだと思うし、現代作家の中でもそれが期待されるだけの実力のある人なのだと思う。
ノーベル賞というものはある一つの基準に過ぎないのだろうけど、だとしても、三島由紀夫が達成できなかったノーベル賞受賞という業績を残すとき、もしかしたら村上春樹という人が、三島を、さらにはその先達らを越えた時なのかもしれないな、と思ってしまった。*3その日はそう遠くないと、心から思います。これからも応援させていただきます!!

*1:http://nobelprize.org/nobel_prizes/literature/laureates/2006/

*2:これは三島由紀夫の「豊饒の雪」を死にそうになりながら読み終えた後もそうで、「天人五衰」に至っては本当に読んだのかと言えるくらいで…

*3:あ〜!!本読みたい。三島もハルキも全部読み直そうかなあ。今だったら少しは読解進んでるでしょうか…。死ぬまでには理解したいレベルだよなぁ…