クライマーズ・ハイ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/05/12
- メディア: DVD
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見ていて本当に色々な要素があって、見る人によって色々な感慨を受けるだろうな、というような内容だった。もちろん設定としてある日航機事故を風化させないこと。そして何よりも、誰の存在にもほかの誰かの命が関わっているということ。働くということ。マスコミのあるべき姿。一つの大きな目標に向かって団結していく集団と、その指揮をふるうリーダーの姿。家族の、親のあり方。…そんな数え切れないほどの人間の悲哀と、苦悩とを。だけどそれでも生きていくということに意味があるとすれば、それは一体どういうものなのか…。そういう疑問にある一つの答えを出してくれるような、ドラマだった。
出演者陣も味があって、演技力もある人たちばかりで、その辺も見応え十分。『海猫』というクソ映画(失礼)をその存在感と演技力で引っ張っていた佐藤浩市を主人公に、岸辺一徳や塩見三省といった迫力のある面々。仕事をする「プロ」と、そのプロ意識っていうもんを熱すぎるくらいに見せつけてくれる。そういう意味ではちょっと仕事に疲れた自分のような人間にもオススメかもしれない。
NHKは色々な面で、この作品を自戒の意味を込めて制作したんだろうか、とふと思った。そうだとすればこれはイメージ戦略といってしまえば終わりだけれど、自分はマスコミの良心だと信じたい。本当に久々に良いドラマであり、映画だったと思う。
文集の将来の夢の欄に、「新聞記者」と書いた中学生のあの頃が懐かしい。あの頃は毎日このドラマに出てくるような、地元紙を読むのが楽しみだった。地元の行事を伝える地味な記事から、この新聞にしか載っていない特別な記事まで、一緒に取っていた全国紙なんかよりずっとおもしろくて、いつかそんな記事を書ける記者にあこがれたんだった。少し前に実家で読んだその地方紙は、いつの間にかページ数も中身も薄っぺらな「新聞紙」になってしまっていた。
その新聞社主催の花火大会は、我が家の毎年の楽しみで夏の風物詩の一つだったけれど、去年の花火はというと、さらに大きな地方をカバーする新聞社主催の花火大会に内容的に見劣りした。部数や花火の玉数だけ多くても、名前だけがちょっとばかし売れていても何の意味もなさない。あの頃みたいに、地元とともに、他に誇れる一「地方紙」に戻ってほしいな、と。少し離れたこの地から、思いを馳せてみるよ…