今日のメディアチェック

空中庭園 通常版 [DVD]

空中庭園 通常版 [DVD]

空中庭園
原作からのイメージ通りかと思いきやさすが豊田監督。原作に勝る、というかまた別物として消化できるような良い映画って少ないけど、これはまさに!という感じだった。
原作者の角田光代も豊田監督も、どちらの作品を見たり読んだりしていて感じる共通点として、どんなに重苦しい話でも最後の最後で人間の持つ可能性を信じたい、と思わせてくれるような、希望だったり救いがあるのが凄く好きだなぁ。
愛しているから、近しいからこそ見せられない思いってあるな。自分も思い上がってそういう周りの人の愛を無視して、気付いたら裏切ってるような腹黒い奴なんで、思い切り腹を突かれたような衝撃だった。血の雨のシーンはそんな自分には痛すぎて、吐きそうなくらい印象的だった。
家族の形は変われども、こんなにも愛おしく大切な存在ってあるだろうか。

ギミー・ヘブン スタンダード・エディション [DVD]

ギミー・ヘブン スタンダード・エディション [DVD]

ギミー・ヘブン
共感覚という特殊な感覚を持つ人間を題材に…と面白い題材だなぁと思い観てみた。
とにかく見終わってみて、音楽が耳について台詞が印象に残らず、音響のせいもあるけどちょっと歯が浮くというか、聞いてて恥ずかしくなるような演出が多かったな。そのせいで入り込めなくて、実際の時間よりも長く感じた。途中共感覚ってのも全然分からないままで、見ながらネットで調べたりした。
それにしても宮崎あおいは「黙して語る」なぁ、と改めて実感。そういう使い方が多いんだろうな、ユリイカ、害虫とかもそうだし。後は安藤政信の使い方がひどすぎる。結局何が言いたいのかは分からなかった。
ただマイノリティの圧倒的な孤独感とか、絶望とかは共感(というか思い出して、懐かしむような)できたけど。

疾走 スタンダード・エディション [DVD]

疾走 スタンダード・エディション [DVD]

疾走
重松清はほとんど読んでいるけど、原作「疾走」を読んだときは何とも重い内容で、いつもの重松風とは違いすぎてビックリした。テーマがテーマだし、モデルの事件が悲惨で、やっぱり救いのなさに打ちのめされそうになった。岩井俊二の「リリイ・シュシュのすべて」もそうだけれど、リアルすぎて痛い。だけど目をそらすことが出来ない。そんな感じ(ただ岩井俊二の場合はそこに美意識があるんだろう)。
これがリアルだなんて、世代の違いなのかとも一瞬感じるけど、思い起こしてみると実際自分がこの年代の頃も、同じように苦悩し、絶望的な孤独や現実から逃げることしか出来なかった。今思うとあんなスピードで逃げて、逃げて、逃げまくったことはないなーと思う。描写はちょっと暴力的に過ぎるけど、これが同年代の共感を得ているらしいから、苦々しく思うのと同時に、少しだけ分かるような気もする。
映画自体は何だか正直煮え切らなかった。瑞々しさとか、スピード感はあるけど、それだけ原作が重く、深いだけに仕方ないとも感じた。個人的にSABU映画が苦手ってのもあるかも…
ただ韓英恵中谷美紀は良かったなぁ。あとロケーション!霞ヶ浦、ものすごく行ってみたくなった。